-
歯の根っこの治療・抜随・感染根管治療
こんにちは。歯科医師の古橋です。
今回は根管治療(こんかんちりょう)について説明して行きたいと思います。
根管治療とは歯の根っこの治療のことですが、大きく分類すると抜随(ばつずい)と感染根管治療(かんせんこんかんちりょう)に分けられます。さて、歯は大きく歯冠(しかん:噛む部分)と歯根(しこん:歯を支える部分・骨に埋まっている部分)に分けられます。
歯は表面からエナメル質・象牙質の順で構成されており、歯根の表面を覆っているのはセメント質です。その内部には歯髄(歯の神経線維や血管など)があります。歯は歯髄から栄養や水分を供給されています。抜随とは
歯の内部にある歯髄炎になってしまった歯髄を除去する治療です。
歯髄炎(しずいえん)の一般的な原因として細菌的原因・物理的原因・科学的原因・そのほかに分けられます。細菌的原因
虫歯(最も頻度が高い)や外傷(歯の破折や亀裂から露出した歯髄に感染)、歯周病の進行に伴い歯髄に感染する(上行性歯髄炎)、非常に稀なケースが菌血症で血行性で歯髄に感染する。など。
物理的原因
外傷、咬耗(歯軋りやくいしばり、咬む力が強く歯がすり減ってきてしまうこと)、磨耗(歯ブラシの間違った使い方、入れ歯の歯にかける金属によるすり減り)、アブフラクション(咬合力と磨耗によるもの)、噛み合わせなど。
科学的原因
歯科治療に使用される材料における原因など。
その他
象牙質知覚過敏(歯周病による象牙質の露出、咬耗症、磨耗症による象牙質の露出など)被せ物のための便宜抜随など。
上記の原因により歯髄炎になってしまった歯髄は状態により、元の健康な歯髄に戻ることができなくなってしまった場合(不可逆制ならば保存できない)に抜随が必要になります。
また、不可逆性歯髄炎(ふかぎゃくせいしずいえん)をそのままにしておくと歯髄は壊死して痛みがなくなりますが、最近の感染が歯根壁象牙質に進んでしまい、感染根管治療が必要になってしまいます。ですので、痛みの異常などが出た場合には早めにご来院ください。
感染根管治療とは
壊死組織(死んでしまっている歯の神経など)、細菌とその産生物などを取り除く処置です。
不可逆性歯髄炎を放置してしまい、歯髄が壊死して歯髄の生体防御機構が失われてしまった状態では、細菌は根管内で自由に増殖して、短期間で感染根管になってしまいます。そうすると根尖(歯根の先)の周囲組織に炎症を引き起こしたり、歯を支える歯根の周りの骨を溶かして膿が溜まったりしてしまいます。このような状態を根尖性歯周炎((こんせんせいししゅうえん)といいます。
このような根尖性歯周炎においては自然治癒はしないため、感染根管治療が必要になります。抜随や感染根管治療は最終的には根管充填(根管の拡大、形成と消毒によって無菌的になった根管に細菌や各種の有害物質が侵入してこないように根管を生体に無害な物質で緊密に封鎖すること)を行い根管治療(歯の根っこの治療)は終了になります。
参考文献;歯内治療学 第4版(編者)中村洋先生(他)医歯薬出版
こんにちは。管理栄養士の北舘です。治療の流れをお話しいたします。
歯の根っこの治療・その症状
ズキズキと何もしていないのに歯が痛い(特に寝る前など体が温まった時)。
どの歯が痛いかわからない。
温かい食事・飲み物でズキズキと痛みがある。
咬むと痛い。
歯茎に白いできものがあるまたは歯茎がはれている。登戸グリーン歯科・矯正歯科での歯の根っこの治療
麻酔
痛みがある場合はまず麻酔をします。
まず表面麻酔を歯茎に置いてから麻酔をしますので痛みが軽減できます。歯の虫歯を取ります
歯の虫歯の部分を削り、虫歯の部分を取り除きます。
感染してしまった歯の根っこまで治療ができるように到達させます。
歯の根っこの数は個性がありますので前歯や奥歯でも本数が変わり治療時間が変わってきます。感染箇所の消毒
歯の根っこの部分にある炎症を引き起こしてしまった神経と壊死組織などの膿を掃除します。
根っこの管の太さをニッケルチタンファイルを使って拡大して行きます。
さらに管がなめらかになるように整えます。
根っこの管の中を超音波の洗浄器具できれいに洗い流します。
消毒をします。乾燥させて薬を置き、仮の蓋をします。
乾燥させてからきれいな状態を維持できるように薬を塗布し、通常のお食事ができるように仮の蓋を被せます。
まだ痛みが出ることが予想される場合は痛み止めを処方します。また、痛みに弱い方やスケジュールが詰まっていてゆっくり体を休めることができにくい場合などは歯科医師にご相談ください。
噛み合わせが強く当たらないように歯の高さを調整します。消毒と乾燥を症状が落ち着くまで繰り返します
神経を取った後、炎症の程度によって消毒治療の通院を繰り返す場合もございます。何度も歯医者に通うのは苦手な患者様もおられると思いますが、大切な歯のためにしっかり治療しましょう。
治療中の部位で強く噛んでしまわないように、また、ゆっくり身体を休めるお時間を確保できるようになさってお大事にお過ごしください。
再発をさせないためにもしっかり治療しましょう!根管充填
症状が落ち着いたら垂直加圧法や法や側方加圧法できれいな状態を保って歯の根っこを密封します。
レントゲン撮影で確認
歯の根っこがしっかり密封できたかレントゲン撮影で確認します。
確認ができたら歯の根っこの治療が終わります。お疲れ様でした!
次に歯の土台を立てる治療になります。まだ治療は続きます。一緒に頑張りましょう。歯の土台を立てる治療
保険診療では金属の土台(銀の素材)で土台を立てています。
歯の根っこへの影響から金属の土台よりもしなやかで歯の根っこに優しいグラスファイバーでできている土台を登戸グリーン歯科・矯正歯科ではおすすめしています。
金属の土台は咬む力の強さを金属が直接歯の根っこに伝えてしまうので歯の根っこの部分で折れてしまうリスクがあります。
グラスファイバーでできた土台は柔らかさと丈夫さを兼ね備えているので衝撃に強く歯を長持ちさせるメリットがあります。ファイバーコアのデメリットは自費診療となります。金属の土台(シルバーコア)保険診療
グラスファイバーの土台(ファイバーコア)自費診療
直接法と間接法で価格が異なります。担当歯科医師にお問い合わせください。型取り
土台を立てたら、噛み合わせのバランスを整え、歯と土台の接触面をなめらかにして型取りを行います。
型取りと被せ物についてのブログ記事です。ご参考になさってください。
歯の被せ物の装着
隣り合う歯と歯の隙間と噛み合わせを調節して、装着します。
これで歯の根っこの治療から歯冠が入って治療の終了です!
これで他の歯と同じように噛んだりできるようになります。
治療中の歯が咬めていなかった分、他の歯に負担がかかってしまっていて、久しぶりに噛み合わせる部位なので少し慣れるまで時間がかかるかもしれません。
噛み合わせの左右差や”きつさ”などクリーニングの時に確認させていただく場合もありますので治療が終わっても、しっかり通ってメンテナンスしていきましょう。
梅雨時でうっとおしいことと、夏の暑さが急に訪れます。
体調の管理が難しい時期ですので治療中の方もメンテナンスの方も十分にお大事になさってください。
歯に関するブログ