-
抜歯のギモンについて 親知らずについての質問に答えます
はじめまして。登戸グリーン歯科・矯正歯科クリニックの津野田です。
昨年11月から当院に入局いたしました。どうぞよろしくお願いします。
本日は親知らずとその抜歯についてお話しさせていただきます。親知らずについて患者さんからよくある質問
患者様からよく「親知らずは抜いた方がいいですか。抜歯は痛いですか。」といった質問をいただくことがあります。特に相談をされる方の多くは、親知らずが生えてくることなく埋まっていたり、歯の頭だけが少し生えている人です。この話題について回答を交えてお話しします。
親知らずを抜いた方がいいのか?
実際に診査をしないと最終的な結論は出せませんが、「抜くべきかどうか」の判断基準の一つにしているのは「親知らずがあることで患者さんにとって何か困ることがあるかどうか」です。「困ること」というと大雑把ですが、要は親知らずがあることで日常生活に差支えが出ていたり、他の歯を治療する上で邪魔になってしまっていたりなど、「(親知らずが)ないほうが患者さんにとって得する」時には抜歯を勧めていることが多いです。
抜歯した方がいい症例
例えば、親知らずが中途半端に生えていて、そこの歯茎が腫れて痛みが出てしまっている場合です。これは奥歯の歯磨きがうまくできていない時などに生じることがあります。奥歯は非常に磨きにくく、日々の手入れが難しいです。ましてやそこに痛みが頻繁に生じるとなると、患者さんにとってメリットがあまりありません。こうした時には抜歯も視野に入れてお口の中を診させていただきます。また、当院では矯正治療を目的に来院されている方が多くいらっしゃいますが、矯正治療の前に親知らずを抜歯することもあります。それはなぜかというと、矯正治療には歯の移動が伴いますが、その際に親知らずがそれを邪魔してしまうことがあるからです。そうした際にも抜歯を勧めております。
抜歯しない方がいいのはどんな時?
一方、抜歯をあまり勧めない場合もあります。それは親知らずが咬合に関与しており、他の歯と同様に使われているときです。この場合はその他特別な理由がない限り抜歯せずに残すことが多いです。また、歯が完全に骨の中に埋まっていて何も痛みがなく困っていることがなければ特に抜く必要性はないためそのままでも問題がないと判断されれば抜歯は勧めません。
抜歯は痛いのか?
抜歯の際に痛みが出ないように事前にしっかり麻酔を効かせるため、抜歯の際の痛みはありません。
ただ、矯正治療中であったり、歯周病の状態などによっては麻酔が効きにくいこともあるため、事前にお痛みがないか確認させていただきます。また、処置の後に麻酔の効果がなくなってくると痛みが出ることもあるため、薬を処方いたします。それでも抜歯から2〜3日後をピークにお痛みや腫れが生じてきた場合には、痛みの緩和を目的に腫れている部位を冷やしてもらうなどをしていただくと症状の緩和に効果的です。その後の経過によっては痛みや腫れが出てくる可能性もありますので経過を見ていく必要があります。当院では原則翌日には来院していただき経過の確認をさせていただいています。これは抜歯部位の消毒だけでなく、その後の経過が良くない場合には投薬の変更など対応が必要になってくることもあるためです。したがって口腔内の状態を実際に診て確認させていただいています。また、抜歯から数日経ってから痛みが出始めることがありますが、これはドライソケットといい、抜歯した後に露出した骨に細菌が感染することにより生じる痛みです。これを起こさないためには血餅という血の塊ができることが重要です。したがって抜歯をした後はその血餅が流れ出てしまわないよう、唾液に少し血が混ざっても強くお口を濯ぐことは控えてください。抜歯後に起こりうる偶発症と後遺症は?
最後に抜歯の前に患者様にご説明している偶発症などについて少しご紹介します。具体的に以下のことをご説明しています。
・ 手術部位を中心に腫れ、痛み、口が開けにくい、喉の痛み、発熱、顔まわりに内出血の発生が生じる恐れがあります。
・下の親知らずを抜歯した場合は唇やその近辺が痺れたり、味を感じにくくなり、稀に後遺症として長期的に残る場合があります。また、上の親知らずを抜歯した場合は歯が上顎洞という顔の中の空洞内部の粘膜を傷つけたり歯が空洞の中に入り込むことにより鼻血が出ることがあります。その場合近隣の口腔外科病院へ紹介させていただく場合があります。・ 歯の根っこの先端が残存することがあります。その場合は経過観察にするか、後日改めて処置を行う可能性があります。
・隣接する歯が一時的にぐらついたり、冷たいものにしみる症状が出ることがあります。
・麻酔の使用により、気分が悪くなることがあります。
・ 抜歯した所に数日後に痛みが生じ、それがやや長期的に続くことがあります。まずはご相談してください。
このように親知らず一つでも患者さんのお口の中によって千差万別であるため、実際には診査とご相談をした上で慎重に決めて参ります。まずは気軽にご相談ください。
ご予約はこちらから参考文献:必ず上達抜歯手技 堀之内康文 著、66症例に学ぶ歯科臨床の問題解決 古賀剛人著
スタッフブログ