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妊婦・授乳婦さんの歯科治療と歯の外傷(ケガ)
こんにちは。歯科医師の川端です。
先日先日歯科専門の書店シエン社に行きまして、何冊か本を購入しました。今回は本のご紹介です。新 妊婦・授乳婦の歯科治療と薬物療法
新 妊婦・授乳婦の歯科治療と薬物療法〈第3版〉-安心で安全な処置・処方のために-
藤井彰・秋元芳明・小宮正道 著 という本です。「妊娠中なのですが、歯の治療はできますか?」
「授乳中なのですが、歯の治療はできますか?」
というご相談をいただくことがございます。
私も妊娠・出産・授乳を経験し幼児を育てている者(母親としてはまだまだ若輩者ではありますが)として妊娠中・授乳中の方がご心配なさる気持ちはとてもよくわかります。
そんなご不安にしっかりこたえられるようになりたいと思います。
実は別の、妊婦・授乳婦のための治療についての本はすでに持っているのですが、薬剤は年々変化していきますし、新たな見解が出ていることもありますので、常に情報をアップデートできるように努めております。計画妊娠をしないかぎり、妊娠したと気づいたときにはすでに胎児の器官形成が始まっている
皆様にとってもお伝えしたいこと、この本でもトップに掲載されている点を一点だけご紹介させていただきます。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、「計画妊娠をしないかぎり、妊娠したと気づいたときにはすでに胎児の器官形成が始まっている」ことです。
「あのとき飲んだ薬は大丈夫?」という悩みを抱かないように、この本では「適齢期女性患者は、妊娠している可能性を考えたうえで投薬すべき」と書かれています。
妊娠はデリケートな話題でもありますので、医院で相談しづらい点もあるかもしれませんが、何かご心配な点がありましたら、気兼ねせずにご相談ください。歯の外傷で小児が来院したら
今年度も三ヶ月が過ぎ、子供達も新しい生活や環境に慣れたでしょうか。
以前、新年度になると子供の交通事故が増えるので注意しましょうということを聞いたことがありましたが、小児の歯の外傷(=怪我)も増えるように思えます。
特に小さいお子さんは外傷で初めて歯科医院に来ました(歯科医院、初体験!)という場合が多いので保護者の方も、お子さん本人もドキドキで来院されてることかと思います。
外傷について改めて向き合いたいと思い、小児の外傷についての書籍をご紹介します。「歯の外傷で小児が来院したら -泣いてた親子を笑顔で帰す-」クインテッセンス出版株式会社 著者:宮新美智世東京医科歯科大学歯学部臨床教授(小児歯科外来)が書かれた本なのですが、レントゲンや口腔内写真のような臨床写真とともに、ラットのHE染色・脱灰切片の写真も掲載されており、骨吸収や歯の細胞のメカニズムも病理的にわかりやすくなっており、とても勉強になる一冊です。この本の帯に掲載されている文章「突然の来院にも適確に対応して、ファミリーデンティストになりましょう」を実現すべく、勉強して参りたいと思います。
外傷歯のみかたと対応
前述の小児の外傷の本に続き、外傷の本の紹介です。
「外傷歯のみかたと対応」
医歯薬出版株式会社 北村和夫 監修/楊秀慶 編集前述の本は小児の外傷でしたが、こちらの本は小児から大人の外傷までが取り上げられています。
小児の歯の外傷の実態調査
日本小児歯科学会 1996年では
と、外傷と年齢の関係について、乳歯では1〜3歳、大人の歯の永久歯では7〜9歳に多いとされています。
また、小児の歯の外傷の実態調査(日本小児歯科学会 1996年)において、乳歯の受傷部位は上顎切歯部が多く、特に上顎乳中切歯73%と圧倒的に多かった。(上の前歯になります)
数は少ないが、乳臼歯部の外傷もみられた。永久歯の外傷
永久歯でも上顎切歯部が多く、上顎中切歯が75%を占めていた。
また、下顎の中切歯の受傷の割合が乳歯より高くなっている。との記憶があります。外傷の分類
破折
①歯冠破折
②歯根破折
③歯冠歯根破折脱臼
①震盪・亜脱臼・側方脱臼
②陥入
③挺出
④完全脱臼
に分けられます。
これらの処置において、乳歯・永久歯で処置や経過観察・整復の期間が異なることもあり、その点もわかりやすく整理されている大変勉強になる一冊です。外傷の患者さんがいらっしゃることは頻度で言えば多くはないのですが、だからこそ、急な時にしっかりとした処置ができるように、日々学び、努めて参ります。

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