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不正咬合治療 矯正の歯並び治療の考え方
こんにちは。歯科医師の川端です。
今年度の4月から「生理的な咬合機能を考慮した不正咬合治療の矯正実習コース
ー新しい矯正治療の考え方 顎機能を考慮した不正咬合の理論と治療ー」の受講が始まりました。
全8回のセミナーを通じて、現在行なっている矯正治療を再確認をし、ブラッシュアップしてまいりたいと思います。
このセミナーには同じ医療法人緑幸会の内田先生、紘子先生とともに女医3人で参加していますので、それぞれの視点で、セミナーについてブログでご紹介できればと思います。骨(骨格)
まず、1日目のメインテーマはズバリ骨(骨格)です!
写真は向かって右側が登戸グリーン歯科・矯正歯科に昔から存在する頭蓋模型です。ご覧になったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このように頭頂部が開き、頭蓋底が見られるようになっています。
この頭蓋底の構造が矯正の分析で用いるセファロ(横顔のレントゲン)に深く関わってくるのです。
(セファロについては次回以降にお伝えします)骨格と矯正
具体的に骨格と矯正の関わりのお話に移っていきます。
まず、矯正において大事なこととは何でしょうか?
見た目(審美性)!と思われる方も多いのではないでしょうか。
私自身、高校生の時に矯正を行なったきっかけは「出っ歯を治して、きれいな歯並びになりたい」でした。
(その矯正治療で歯科の素晴らしさと面白さを知り、歯学部に入り現在に至ります)
講師の白数先生は、「矯正治療とは、不正咬合の要因を取り除くこと」とおっしゃっいます。
不正咬合とは、オーガニックオクルージョン(臼歯と前歯の相互保護関係)が破綻した状態と定義されており、上下の歯の接触関係の異常により歯と歯において干渉が起きている状態を言います。
「不正咬合の要因を取り除くこと=正常咬合」の状態に導くということなのです。なぜ不正咬合が起こるのか
では、なぜ不正咬合が起きるのか?
不正咬合をお話しする上で、下顎の骨の中で「下顎頭(かがくとう)」という言葉が大事になってきますので画像でご紹介します。
この下顎頭が邪魔されずにスムーズに動ける&正しい位置にいられることが大事になってきます。
不正咬合の原因
では、それを踏まえて不正咬合とは何が原因で起こるのでしょうか?
早期接触
口を開け閉めする際に本来当たるべきではないところで、先に上と下の歯が当たってしまうこと。
下顎がそれを避ける運動をするようになる咬頭干渉(こうとうかんしょう)
正しくない場所で歯がぶつかることにより、下顎の回転運動に影響を与える
咬合干渉
顎を横にずらしたり、動かしたりするときに当たってしまうこと。これにより下顎がそれを避けるように運動をするようになる
咬合支持喪失
正しく噛む場所を失ってしまうこと
前歯部の干渉
下顎が動くときに前歯がぶつかってしまい下顎の位置がずれてしまう
と、文字にすると難しいですね。
簡単にまとめると「正しくない位置で歯がぶつかってしまうことにより、体がそれを避けようとする。
正しくない場所で歯がぶつかることにより、下顎がずれて正しくない場所に位置するようになってしまう。」ことが不正咬合の原因ということです。なぜ正しくない場所でぶつかってしまうのか
そのことについて頭の骨の成長と合わせて観察していきましょう。
赤ちゃんの頃から大人になるまで頭の骨は発達していきます。
その過程で奥歯の高さに個人差が出てきます。
奥歯の位置のバリエーションにより関節の圧迫により下顎頭の成長がうまく行えなかったり、下顎が前に出てきてしまったりという症状が出てきます。
それにより不正咬合が導かれると考えられるそうです。
大学で学習した矯正治療の概念ではここまで骨の発達に関して掘り下げていなかったので、このお話は大変興味深いものでした。では、奥歯の位置を正しい位置に並べられたら上述の問題が解決できるのではないか?という点を考慮して行う矯正がセミナーの表題にある「顎機能を考慮した不正咬合の治療」なのです。
セファロについても触れたかったのですが、長くなりましたのでまた次回にお伝えしたいと思います。
内容が盛りだくさんのセミナーで、なかなか全部伝えきれずもどかしいですが、あと6回も楽しく学んでいきたいと思います。
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