-
Dr川端 お口の機能について
こんにちは、歯科医師の川端綾香です。
立秋とは名ばかりの暑さが続いていますが、皆様お元気でお過ごしでしょうか?
日々30度を超え通院が大変な中、頑張って通ってくださる皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。
私は、先々週にコロナワクチンの4回目接種を終えましたが、副反応は4回目でも軽くなることはないのですね。。。ワクチンだけでなく、健康管理も気を付けていきたいと思います。
さて、今回から【歯に関するブログ】では、何回かに分けて「お口の機能」についてお話したいと思います。
今回は『こどものお口の機能(噛むこと)』についてです。
グリーン歯科クリニックでは、お子さんの歯科定期健診だけでなく、小児矯正も行っていますので、日々たくさんの子供の患者さんが通ってくださっています。
お口の機能は、生まれてから成長にともない発達、獲得していきます。しかしながら、お子さん本人にとっては、すべてが初めて経験のため、何か問題があっても自覚しにくいことが多いのです。
そのため、ご家族の早めの気づきが重要で、必要に応じて医療的アプローチを行うことで、発育や、生涯にわたる健康づくりにつながっていくと言われています。
■お子さんのお口の機能で気になることはありますか?
という質問については
◇歯がなかなかはえてこない
◇歯並びに乱れがある
◇強くかみしめられない
◇食べ物を噛んでいる時間が長すぎる、短すぎる
◇食べるとき、左右どちらかばかりで噛んでいる
◇飲み込むときに、舌が唇から出ている
◇日常的に、口をあけたままになっている
◇寝ているとき、いびきをかいている
などのお悩みが多いようです
【参考文献:日本歯科医学会:口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方】
上のグラフは、よく取り上げられるものなので、一度はご覧になったことがある方も多いと思います。
このグラフからもわかるように子供の虫歯は減っていますが、近年では「食べる」「話す」など機能面でのお悩みが増えているようです。
お悩みのなかの「口があいたままになっている状態」「飲み込むときに、舌が唇から出ている」は、口唇閉鎖力が不十分である可能性があります。
口唇閉鎖力とは、食べたり、飲み込んだり、話したりするときに唇をしっかり閉じる力のことです。
では、お口があいたままになっていると、どのような問題が起きてしまうのでしょうか?
矯正治療中のお子さんの中には、口唇トレーニングを日々頑張ってくれている子もたくさんいますね!
日常生活のなかで口唇閉鎖力のために大切なことの一つは「よく噛んで食べること」です。
口腔生理学の観点からは、食事を食べ、飲み込むこと(嚥下)は
①先行期(食物の認知)
②準備期(食塊の形成)
③口腔期(咽頭への抽送)
④咽頭期(食道への抽送 )
⑤食道期(胃への抽送)
の5期にわけられます。
この5期の中で、噛むことは②準備期(食塊の形成)に含まれます。我々は日常の中で無意識に「噛む」動作を行っていますが、動作は大きく分けると3つの動きから成り立ちます。
① 前歯などで食べ物をかみちぎる
② 奥歯などですりつぶす
③ 奥歯などでさらによく噛んで舌を使って飲み込む
これら3つの動作をしっかり行うことが大切になってきます。そのために、「柔らかい」「小さく切ってあるもの」ばかりを食べるのではなく、「硬さ」「大きさ」がしっかりあるものを食べることが大事と言われています。柔らかいものばかりでなく、食卓に噛みごたえのあるものを一品追加してみる、など少しずつチャレンジしてみるのもよいかもしれません。
グリーン歯科クリニックでは、管理栄養士さんによる食育も始まりました。
歯を治すだけでなく、お口における日常生活の包括的なサポートを行える医院になることが歯科医師やスタッフ一同の願いです。
悩み事がございましたら、ぜひご相談ください。
長くなりましたので、他の内容に関しては次回まとめたいと思います。
余談ですが、「現代人は昔と比べてあごが小さい」と、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?
縄文人と現代人を比較すると、あごの大きさの変化に加えて、歯が内側に寄っているという報告もあるそうです。これは「現代人が食べ物をすりつぶして噛む動作が減ったこと」が要因の一つと考えられているそうです。
面白いですね!
縄文人ほど硬いものを噛むことは難しいですが、こんなことも頭の片隅において、噛むということを見つめてみてくださいね。
参考文献:保存修復学 永末書店、ハノコト GC MEMBERS society、歯科口腔生理学 医歯薬出版
歯に関するブログ