• 矯正治療中の正しい歯磨き方法〜歯科医師からの5つのコツ

    矯正治療中に歯磨きが重要な理由

    矯正治療を始めると、お口の中は一変します。ブラケットやワイヤーが装着され、今までとは全く違う環境になるのです。この新しい状況で最も重要になるのが、毎日の歯磨きです。

    矯正装置を付けると、食べ物のカスや歯垢(プラーク)が溜まりやすくなります。特に装置の周りや歯と歯の間は、通常よりも汚れが付着しやすい状態になっています。

    実は、矯正治療中に虫歯や歯周病になってしまうと、治療の進行に大きな影響を与えるんです。装置を一度外して虫歯の治療をしなければならなくなり、結果的に矯正期間が延びてしまうことも。

    「せっかく矯正治療を始めたのに、虫歯になってしまった…」

    こんな事態は避けたいですよね。当院でも多くの患者さんが矯正治療中の口腔ケアについて質問されます。

    矯正治療中の正しい歯磨きは、きれいな歯並びを手に入れるための必須条件なのです。今回は、矯正専門医として長年患者さんをサポートしてきた経験から、効果的な歯磨き方法をご紹介します。

    矯正装置のタイプ別 正しい歯磨き方法

    矯正治療には主に「ワイヤー矯正」と「マウスピース矯正」の2種類があります。それぞれの特徴に合わせた歯磨き方法を知ることが大切です。

    まずはワイヤー矯正中の歯磨き方法について見ていきましょう。ワイヤー矯正では、歯にブラケットという小さな装置を接着し、そこにワイヤーを通して歯を動かしていきます。この装置が付いていると、通常の歯磨きでは届きにくい場所が増えてしまうんです。

    ワイヤー矯正中の基本的な歯磨き手順

    ワイヤー矯正中の歯磨きで最も重要なのは、ブラケット周りの清掃です。以下の手順で丁寧に磨いていきましょう。

    • まず歯ブラシを45度の角度で歯と歯茎の境目に当て、小さく振動させるように動かします
    • 次にブラケットの上側から歯ブラシを当て、小刻みに動かします
    • 同様にブラケットの下側も丁寧に磨きます
    • ワイヤーの下側は特に汚れがたまりやすいので、歯ブラシの先端部分を使って磨きましょう

    「でも、普通の歯ブラシでは届きにくい場所がありそう…」

    そう感じる方も多いはずです。実は矯正治療中には、通常の歯ブラシだけでなく、専用の歯ブラシを使うことをお勧めしています。

    マウスピース矯正中の歯磨き方法

    一方、マウスピース矯正(インビザラインなど)では、透明なマウスピースを装着して歯を動かしていきます。この方法の大きな利点は、食事や歯磨きの際にマウスピースを外せることです。

    マウスピース矯正中の歯磨きは以下の手順で行いましょう:

    • 食後はマウスピースを外し、通常通り歯磨きをします
    • 歯と歯の間、歯と歯茎の境目も丁寧に磨きます
    • マウスピース自体も専用の洗浄剤または中性洗剤で優しく洗います
    • マウスピースを装着する前に口をすすぎます

    マウスピース矯正では、装置を外して磨けるため比較的簡単ですが、装着時間を守ることが重要です。食後の歯磨きをおろそかにすると、マウスピースの中で細菌が増殖してしまうリスクがあります。

    「マウスピースが黄ばんできた…」という経験はありませんか?これは、歯磨き後すぐに装着したり、マウスピースの洗浄が不十分だったりすることが原因です。

    矯正治療中におすすめの歯磨きグッズ5選

    矯正治療中は、通常の歯ブラシだけでは不十分なことが多いです。ここでは、矯正中に特に役立つ歯磨きグッズをご紹介します。

    1. 矯正用歯ブラシ

    矯正用に特化した歯ブラシには、いくつかのタイプがあります。V字型やU字型にカットされた歯ブラシは、ブラケットやワイヤーの周りを効果的に磨くことができます。

    山型カットの歯ブラシは、ブラケットの上下を同時に磨けるため、効率的です。また、毛先が柔らかめのものを選ぶと、歯茎を傷つけにくくなります。

    2. タフトブラシ(ワンタフトブラシ)

    毛束が1本だけになっている小さな歯ブラシです。ブラケットの周りや、歯と歯の間など、通常の歯ブラシでは届きにくい場所の清掃に最適です。

    特にワイヤーの下側や、歯が重なっている部分の清掃には欠かせないアイテムです。小回りが利くので、細かい部分も丁寧に磨くことができます。

    3. 歯間ブラシ

    歯と歯の間、ブラケットの周り、ワイヤーの下側など、通常の歯ブラシでは届きにくい場所の清掃に適しています。サイズは複数あるので、隙間の大きさに合わせて選びましょう。

    使用する際は、無理に押し込まず、優しく出し入れすることが大切です。歯茎を傷つけないよう注意しましょう。

    4. デンタルフロス(フロス糸)

    矯正中でもフロスは重要です。ただし、通常のフロスではワイヤーがあると使いづらいため、「フロススレッダー」という補助具を使うと便利です。

    フロススレッダーは針の穴のような形状をしており、そこにフロスを通してワイヤーの下に入れることができます。また、矯正専用のフロスも市販されています。

    5. 水圧を利用した口腔洗浄器(ウォーターフロッサー)

    水流を使って歯間や矯正装置の周りの汚れを洗い流す器具です。ブラッシングだけでは取りきれない食べかすを効果的に除去できます。

    特に矯正治療中は非常に役立つアイテムで、ブラケットやワイヤーの周りの清掃に効果的です。ただし、これだけで歯磨きを済ませるのではなく、通常の歯ブラシと併用することが大切です。

    「これだけ道具があると、どれを選べばいいか迷ってしまいますね。」

    確かにそうかもしれません。しかし、矯正治療中は通常よりも虫歯や歯周病のリスクが高まるため、複数のアイテムを組み合わせて使うことをお勧めします。特に「矯正用歯ブラシ」と「タフトブラシ」は最低限用意しておくと良いでしょう。

    矯正歯科医が教える効果的な歯磨き5つのコツ

    道具を揃えても、使い方が分からなければ効果は半減してしまいます。ここでは、私が患者さんに実際にお伝えしている、矯正治療中の効果的な歯磨きのコツを5つご紹介します。

    コツ1: 時間をかけて丁寧に磨く

    矯正装置があると、通常よりも歯磨きに時間がかかります。最低でも3分以上、できれば5分程度かけて丁寧に磨くことをお勧めします。

    特に就寝前の歯磨きは最も重要です。睡眠中は唾液の分泌量が減るため、虫歯のリスクが高まります。夜の歯磨きは特に丁寧に行いましょう。

    「忙しい朝は時間がないけど、夜はしっかり時間をかけて磨くようにしています。」

    そうですね。理想的には毎食後に丁寧な歯磨きをすることですが、特に就寝前の歯磨きを徹底することが大切です。

    コツ2: 正しい歯ブラシの角度で磨く

    ブラケット周りを磨く際は、歯ブラシの角度が重要です。ブラケットの上側を磨く場合は歯ブラシを下向きに45度、下側を磨く場合は上向きに45度の角度で当てると効果的です。

    また、歯と歯茎の境目は歯ブラシを45度の角度で当て、小さく振動させるように動かすことで、プラークを効果的に除去できます。

    コツ3: 磨き残しをチェックする

    歯垢染色剤を使うと、磨き残しが一目瞭然です。定期的に使用して、自分が磨き残しやすい場所を把握しましょう。

    特に矯正装置の周りは磨き残しが多くなりがちです。染め出しをすることで、効果的な歯磨き方法を身につけることができます。

    「染め出し剤って、どこで手に入りますか?」

    歯科医院で処方してもらえますし、ドラッグストアでも市販されています。定期的に使用して、自分の磨き方を見直すきっかけにしてください。

    コツ4: 電動歯ブラシを活用する

    電動歯ブラシは、手磨きよりも効率的にプラークを除去できることが研究で示されています。特に矯正治療中は、複雑な装置の周りを磨くのに役立ちます。

    ただし、強い力でこすると歯茎を傷つける可能性があるので、優しく当てるだけで十分です。また、電動歯ブラシを使用しても、歯間ブラシやフロスなどの補助的な道具は併用しましょう。

    コツ5: フッ素配合歯磨き剤を使用する

    矯正治療中は虫歯のリスクが高まるため、フッ素配合の歯磨き剤を使用することをお勧めします。フッ素には歯を強化し、初期の虫歯を修復する効果があります。

    また、矯正中は特に歯が酸性環境にさらされやすいため、フッ素洗口液を併用するとさらに効果的です。歯科医院で処方されるフッ素ジェルなども活用しましょう。

    「歯磨き粉は何でも良いわけではないんですね。」

    そうなんです。特に矯正中は、フッ素配合の歯磨き剤を選ぶことが大切です。また、研磨剤が強すぎるものは避け、マイルドなタイプを選びましょう。

    矯正治療中に気をつけたい食習慣

    歯磨きと同様に重要なのが、日々の食習慣です。矯正治療中は特に注意したい食べ物や飲み物があります。

    避けた方が良い食べ物

    矯正装置、特にワイヤー矯正中は、以下のような食べ物には注意が必要です:

    • 硬いもの(せんべい、固いパン、氷など):ブラケットが外れる原因になります
    • 粘着性のあるもの(キャラメル、餅など):装置に絡みつき、取れにくくなります
    • 糖分の多いもの(チョコレート、キャンディなど):虫歯のリスクが高まります

    マウスピース矯正の場合は、食事の際に装置を外すため食べ物の制限は少ないですが、装着時間を守ることが重要です。

    飲み物への注意

    清涼飲料水やスポーツドリンクなどの糖分や酸を含む飲み物は、歯のエナメル質を溶かし、虫歯のリスクを高めます。特に矯正装置があると、装置の周りにこれらの飲み物が溜まりやすくなります。

    水やお茶を中心に飲むようにし、甘い飲み物はできるだけ避けましょう。どうしても飲む場合は、ストローを使って飲み、その後すぐに口をすすぐことをお勧めします。

    「甘いものが好きなのですが、矯正中は全く食べられないのでしょうか?」

    完全に禁止というわけではありません。甘いものを食べる場合は、食後のデザートとして一緒に食べるようにし、その後すぐに歯磨きをすることをお勧めします。間食として頻繁に甘いものを食べることは避けましょう。

    矯正治療中のトラブルと対処法

    矯正治療中は、様々なトラブルが発生することがあります。ここでは、よくある問題とその対処法をご紹介します。

    装置周りの痛みや違和感

    矯正装置を付けた直後や調整後は、歯に痛みや違和感を感じることがあります。これは歯が動き始めている証拠です。通常、数日で慣れてきますが、痛みが強い場合は市販の鎮痛剤を服用するか、歯科医院に相談しましょう。

    また、ワイヤーやブラケットが頬や唇に当たって痛む場合は、矯正用ワックスを使用すると良いでしょう。ワックスは歯科医院でもらえますし、薬局でも購入できます。

    ブラケットが外れた場合

    硬いものを食べたり、歯ブラシを強く当てたりすると、ブラケットが外れることがあります。この場合は、自己判断で対処せず、速やかに歯科医院に連絡しましょう。

    応急処置として、外れたブラケットが歯に引っかかっている場合は、矯正用ワックスで覆って口内を保護し、早めに受診してください。

    口内炎ができた場合

    矯正装置が口の中の粘膜に当たり、口内炎ができることがあります。この場合も矯正用ワックスを使用すると良いでしょう。また、薬局で市販されている口内炎治療薬も効果的です。

    口内炎が頻繁にできる場合は、歯科医院に相談してください。装置の調整が必要かもしれません。

    「矯正治療中のトラブルって、自分で対処できることと、すぐに歯医者さんに行った方がいいことがあるんですね。」

    そうなんです。軽微な痛みや違和感は自己対処できることも多いですが、装置が破損した場合や強い痛みが続く場合は、必ず歯科医院に相談してください。自己判断で放置すると、治療期間が延びる原因になります。

    まとめ:矯正治療を成功させるための歯磨きの重要性

    矯正治療中の正しい歯磨きは、きれいな歯並びを手に入れるための必須条件です。今回ご紹介した5つのコツをおさらいしましょう:

    • 時間をかけて丁寧に磨く(特に就寝前)
    • 正しい歯ブラシの角度で磨く
    • 染め出し剤で磨き残しをチェックする
    • 電動歯ブラシを活用する
    • フッ素配合歯磨き剤を使用する

    また、矯正用歯ブラシ、タフトブラシ、歯間ブラシ、フロス、口腔洗浄器などの補助的な道具を上手に活用することで、より効果的に口腔内を清潔に保つことができます。

    矯正治療は決して短期間で終わるものではありません。1年以上かかることも珍しくありません。その間、毎日の歯磨きを怠ると、せっかくの治療が台無しになってしまう可能性もあります。

    「毎日の歯磨きが、将来の素敵な笑顔につながるんですね!」

    その通りです。日々の小さな努力が、将来の大きな成果につながります。矯正治療中に適切な口腔ケアを行うことで、治療終了後も健康で美しい歯を長く保つことができるのです。

    当院では、患者さん一人ひとりの状態に合わせた歯磨き指導を行っています。矯正治療中の歯磨きでお悩みの方は、ぜひご相談ください。専門のスタッフが丁寧にサポートいたします。

    きれいな歯並びと健康なお口を手に入れるために、一緒に頑張りましょう!

登戸グリーン歯科・矯正歯科

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