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歯周病と矯正治療・歯周矯正治療について
歯周病と矯正治療
歯周病とは歯茎の周りの炎症から始まり、放置すると次第に歯を支える骨が溶けてきて、 最終的には歯が抜けてしまう病気であり、歯を失う原因の代表的な疾患の一つです。
日本では, 45-74歳の各年齢で歯周病(歯周ポケットがポケットが4mm以上)の人は約半数以上を占めているというデータがあります。
程度の差はあれ、 世の中の大多数の人が罹患(感染)している歯周病ですが、歯周病を抱えたまま矯正治療を行なってもいいのでしょうか。
また、歯周病に対して矯正治療はどのようなメリット・デメリットをもたらすのでしょうか。歯周矯正治療とその意義
歯周矯正治療とは, 「歯周病患者に対して」行う矯正治療、つまり歯並びの不具合を治すことによって歯周病を維持・改善させようとする治療のことです。
歯列の乱れを治すことによってプラークコントロールのしやすさを向上させたり、個々の歯にかかる異常な力(外傷性咬合)を排除したり、 発音や審美性の回復を目的として行われます。歯並びと歯周病の関係
歯の磨きにくさ
歯が重なっていたり、 飛び出ていたりする箇所は歯磨きが行き届かないという実感がある方も多くいらっしゃると思います。
もちろん定期的なメインテナンスに来ていただくことで、プラークや歯石の蓄積を最小限にすることができるという点では歯科医院でのクリーニングは意義深いです。
しかし、 日々のホームケアあってのクリーニングですので、磨きにくさをそのままにしておくことで口腔内は常にプラークの蓄積、 歯石の沈着などを生じやすい環境に晒されていることにはなります。歯にかかる力
また、歯並びの乱れ(叢生)のある部分は、通常であれば歯列全体で受け止めるべき力を1本で受け止めています。
つまり、 歯茎や骨といった歯周組織を壊すような異常な力がかかっているのです。
ですので、 その強い力によって歯が病的に揺さぶられ(ジグリング)プラークや歯石の蓄積が生じるとしだいに周りの骨(歯槽骨)歯を溶かしていき、 歯の揺れやそれに伴う痛みを引き起こし、ひいては歯が抜け落ちる原因になってきます。矯正治療の開始時期に大切なこと
矯正治療の開始時期
矯正器具を歯に装着することはそれ自体がプラークを呼び込むことにもなります。
ですので、前提条件として歯磨きの習慣や頻回の間食をしないなどの生活習慣が大事になってきます。
また、歯肉からの出血があるなど、 著しくプラークコントロールの悪い状態で矯正器具をつけることは炎症を増悪させるので注意が必要です。
数値でいうと歯周ポケットが4 mm以下の状態で歯肉からの出血がなくなった状態から矯正治療はスタートできます。
矯正治療をやってはいけない歯周病の状態歯周病を抱えていると, 歯の植っている骨が少ないので一般的にかけて良いとされる矯正力(傾斜移動: 30-50 g, 歯体移動: 50あ-80 g, 1ヶ月の移動量0.5-1.0 mm)より少ない力に調整して動かす必要があります。
また、 炎症があるまま矯正を始めると矯正の力が骨を溶かす力として働く危険性が高いです。
また同様の理由でプラークコントロールを良く保つことが不可欠です。
一般的には3ヶ月に一回クリーニングをすることが目安になっています。著しく顎の骨の骨量が少ない場合
さらに著しく骨量が少ない場合は、 矯正と歯周病の専門医との連携によるチーム医療が必要となってくることもあります。
歯周病があると矯正治療が難しいとよく言われるのですが、 歯周病を改善する一つの手立てとして矯正治療があることもまた事実です。
歯並びの状態, 噛み合わせの状態, 歯周組織の状態をしっかりと精査し、一人一人の患者様に合った治療計画をご提案できるよう精進いたします。参考文献: 臨床歯周病学第2版 医歯薬出版株式会社
登戸グリーン歯科・矯正歯科 歯科医師 南

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